クレジットカードは、手元にまとまったお金がない時でも、高額な商品をライフスタイルに合わせた支払い方法で購入できたり、ある程度の金額のお金をキャッシングできたりと、上手に使えば生活を豊かにできる便利なカードです。
それだけに、うっかり紛失したり盗難に遭ったりした場合に受ける被害も大きなものとなってしまうため、適切な管理が必要となります。とはいえ、カードをうっかり落としたり、盗まれたりといったことは誰にでも起こる可能性のあることです。それを考えると、カードを持つのは怖いという人もいるかもしれません。
そんな時に役に立つのがクレジットカードの盗難保険です。このページでは、クレジットカードに付帯している盗難保険の基本的な知識をお伝えしていきます。
ここの内容を理解すれば、より安心してクレジットカードを使えるようになりますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
クレジットカードの盗難保険の概要と一般的な補償内容
カードを盗まれて不正利用された場合でも、基本的な条件を満たし、必要な手続きを踏めば、損失や被害の補償を受けることが可能です。
例えば、カードを盗まれてしまい悪質な犯人に限度額いっぱい50万円分の買い物をされてしまったとしましょう。このとき何もしなければ、カードの所有者が50万円を払う義務を負ってしまいます。しかし、必要な手続きをとりさえすれば、盗難保険が適用されて被害に遭った分の支払いはしなくて良くなるのです。
基本的に、盗難保険では被害額の100%が保証されることになっていて、上限額は設けられていません。10万円でも1000万円でも補償の対象となります。
カードの盗難保険は、基本的に別途の申し込みが不要なサービスです。日本で発行されているほぼすべてのクレジットカードに、発行の時点で自動的に付帯されていると考えて間違いありません。もちろん、ゴールドカードやプラチナカードだけでなく、年会費が無料のカードでもついていますので安心しましょう。
盗難保険が適用される事例は、クレジットカードの置き忘れや落としたことによる紛失、泥棒やスリ、置き引きなどによる盗難が主なものとなります。その他、クレジットカード払いを利用した店舗や会社からカード情報が流失してしまい、被害が発生した場合も適用対象です。また、専用のリーダーでカード情報をこっそり読み取られてしまうスキミングという手口で被害に遭った場合も、補償の対象になります。
なお、クレジットカードには、昔からある磁気テープ貼付け型と近年普及し始めているICチップ搭載型の2種類があります。スキミング被害に遭いやすいのは情報の読み取りが比較的容易な磁気テープ型の方です。これからカードを申込みする人は、セキュリティ面を考えてICチップ型カードを選ぶことをおすすめします。
盗難保険の補償が適用とならないケース
心強い盗難保険ですが、あらゆるケースで補償が適用されるわけではありません。不正利用にあっても被害の補償が受けられないケースがあります。
そのうちの1つが、友人や家族にクレジットカードを貸してしまった場合です。もともと、クレジットカードは本人しか使えないと規定されています。それをクレジットカード所有者の合意の上で友人や家族に貸してしまったら、重大な規約違反を犯していることになってしまうのです。
借りた人間が不正利用した場合も、借りた人間の不注意で盗まれて誰かに悪用されてしまった場合も、補償の適用外となってしまいます。クレジットカードは本人のみが持つようにし、頼まれても貸さないようにしなければなりません。家族が使いたがった場合は、家族カードの発行を検討すると良いでしょう。
また、カードの裏面にある署名欄が無記名だった場合も、規約違反があるとして保険の対象外となります。カード裏の署名は、カードの所有者を示すという大切な役割を担うもの。本来、署名のないカードはお店などでも使えないことになっています。カード会社の規約にも、「必ず署名してください」と書かれています。
無記名の人は意外とたくさんいますが、安全のため、今すぐサインをするようにしましょう。サインの際の細かな決まりはありませんので、漢字で書いてもアルファベットにしても、フルネームでも何でも構いません。サインペンで、クリアに読めるように書いておきましょう。
カード裏の署名については下記記事でも詳しく書いていますので、併せて確認してみてください。
クレジットカードの暗証番号の管理が不適切な場合も、盗難保険による補償は受けられません。不適切な管理とは、暗証番号を友人や家族などに教えていたり、電話番号や生年月日などすぐに類推できる番号にしていたりといったケースです。中には、カードの裏面に直接番号を書いていたり、暗証番号を書いたメモをカードと一緒に財布にいれているという人もいます。
誰かに教えていたり、わかりやすい番号に設定していたりする人は、カードの暗証番号を変更した方が良いでしょう。カードに直接書いている人は、消せるようなら消し、無理なら再発行して暗証番号も違うものにした方が安心です。新しい番号は誰にも知られないようにしましょう。
盗難保険の適用期間外に受けた被害も補償を受けることはできません。すべてのクレジットカードには60日規定があり、カード会社に連絡した日からさかのぼって60日以内に起きた被害のみが対象となると決まっているのです。
もし、気づかれないままカードが不正利用されていて、気づいた時には60日以上経過していたという場合は、残念ながら補償を受けられない可能性が高いです。
盗難保険の申請方法
盗難にせよ紛失にせよ、クレジットカードが無くなっていることに気がついた時点で速やかにカード会社に連絡を入れるようにしましょう。すべてのカード会社が緊急対応窓口を設けていて、365日24時間対応が可能です。カードが無くなった場合はできるだけ早く知らせることが重要ですので、夜中でも休日でも気にせず連絡するようにしましょう。
連絡を受けたカード会社は、対象のカードを手に入れた第三者が悪用できないように、すぐに利用を停止します。また、もしもこの時点で不正があった場合は、教えてもらえます。なお、持っているカードの会社の緊急連絡先はスマートフォンや手帳にメモして持ち歩くようにしておくと良いでしょう。
カードの盗難にあったときは、警察にも連絡をしておく必要があります。会社の近くや旅行先で盗難に遭ったという場合でも、自宅の近くにある警察に届け出て構いません。被害届を提出すると、警察から盗難届証明書か届け出の受理番号が渡されますので、これは大切に保管しておきましょう。
この後、カード会社に再び連絡し、受理番号を知らせます。カード会社によっては必要書類を送ってきますので、必要な項目に記入して盗難届証明書とともに提出することもあります。カード会社の指示をよく聞いて従いましょう。
なお、盗難や紛失に遭ったカードは、もし万が一出てくることがあってももう使うことはできません。新たに新規カードの発行手続きを取りましょう。カード会社によって再発行にかかる日数はそれぞれですが、手続き後だいたい1週間前後が目安となります。
なお、利用明細が届いたり銀行口座から身に覚えのない引き落としがあったりして、カードが無くなっていることに気がつくケースもよくあります。この場合、既に不正利用の被害に遭っているということですが、必要な条件を満たしていれば保険の適用は受けられますので、心配は要りません。
ただし、上でも述べているとおり、盗難保険の適用期間は不正利用の被害に遭ってから60日以内の連絡です。それ以上の期間が経ってから不正に気がつき連絡を入れても、保険が適用されずに全額支払う必要が生じるおそれがあります。
盗難保険申請手続きの例
楽天カードを例にとって実際の盗難保険の申請手続きを紹介します。
まず、下記が公式サイトに記載されている楽天カードの盗難保険の概要です。
【カード盗難保険について】
楽天カードには盗難保険が付帯されており、カードの紛失・盗難後に不正使用された場合、弊社がその連絡を受理した日より60日前以降に発生したカード使用の被害額を保険会社の判断に基づいて免除いたします。
ただし、お客様からのご連絡が遅れた場合や、カード保管義務に違反していた場合(会員規約17条2項参照)は、支払免除の対象とはなりませんので速やかにお知らせください。引用元:楽天カード:よくあるご質問
なお、「会員規約17条2項」は下記のようになっています。
2.前項但し書の定めにかかわらず次の各号のいずれかに該当する場合には、支払免除の対象となりません。
(1)紛失、盗難等が会員の故意又は重大な過失によって生じた場合。
(2)会員の家族、同居人、留守人その他会員の委託を受けて身の回りの世話をする者等、会員の関係者が紛失、盗難等に関与し、又は不正使用した場合。
(3)戦争、地震等著しい社会秩序の混乱の際に紛失、盗難等が生じた場合。
(4)本規約に違反している状況において紛失、盗難等が生じた場合。
(5)紛失、盗難等が虚偽の場合。
(6)会員が当社の請求する書類の提出を拒み又は提出した書類に虚偽の申請をした場合又は当社等が行う不正使用被害調査に協力しない場合。
(7)暗証番号を使用するカード利用において、使用された暗証番号と登録の暗証番号との一致を確認した上で行われたカード利用について損害が生じた場合(但し、第5条第3項但し書の場合は除きます。)。引用元:楽天カード会員規約
そして、下記が楽天カードの盗難保険申請の大まかな手順です。
- 24時間受付の紛失・盗難専用ダイヤルへ連絡(※警察へも届け出る)
- 連絡後に送付される書類に記入して返送する
- 返送された書類が保険会社で保険適用と判断されれば支払い免除
まずはカードを止めて警察へ届け出るところまで完了させ、その後保険会社に状況を確認してもらって保険適用となるかどうか判断してもらうという流れになります。
書類ですが、楽天カードの場合は「紛失盗難被害通知」「紛失盗難状況ヒアリングシート」という書類を申請のために記入して返送する必要があります。
なお、海外での盗難被害の場合は、ポリスレポートなどの追加書類が必要になります。必要書類を取得しないまま帰国してしまうことの無いよう、海外旅行に行く前に盗難保険の手続きを調べておいた方が安心です。
まとめ
クレジットカードを使用する上で大きな心配事の一つが盗難や紛失による不正利用の被害です。使った覚えのない請求をされてしまうのは誰でも困ってしまいますし、当然支払いも困難ですよね。
そうしたトラブルから私たちを守ってくれるのがクレジットカードの盗難保険です。心強いものですが、カード利用規約に違反している場合は補償されない可能性も出てきてしまいますので、署名漏れなどの規約違反がないように日頃から気を付けておきましょう。
また、盗難や紛失に気が付いた場合は、即座にカード会社の専用デスクに連絡してカードを止めて、警察へ届け出るというのが第一手順になります。いつでもすぐに連絡できるように、専用デスクの連絡先をメモなどに控えておくようにしてください。
正しく準備をしておけば、万一の場合でも被害額を負担せずに済みます。この機会に、盗難保険の適用条件と申請手順をしっかり確認しておくと良いでしょう。