クレジットカードを使用して買い物する際、特に通販利用時などに耳にすることがある「オーソリ」という言葉。聞いたことはあるけれど詳しい意味は分からないという人も多いのではないでしょうか。
オーソリはクレジットカードの支払いに関わる大切な概念で、知っておくとトラブル時に慌てず対処することができます。安心してショッピング等を楽しめるよう、ぜひこの機会に学んでみてください。
オーソリゼーション(オーソリ)とは何か
オーソリは信用承認、あるいは販売承認と呼ばれることもあり、端的に言えば「与信枠の確保」を行う作業です。オーソリゼーション(Authorization)を略してオーソリと呼んでいるところが多いです。
これだけだと少し分かりにくいので、ネットショッピングを例に挙げて説明します。
10,000円の洋服を通販で買おうとして、支払い方法としてクレジットカードを選択して注文するとします。この時、販売者であるショップ側は、指定されたクレジットカードの有効性というものを確認します。カード情報は正しいか、有効期限が切れていないか、利用限度額に達していないかなどですね。無事にそのカードが支払いに使用できる場合、ここで10,000円分の支払いの枠を確保するのです。
この一連の作業を「オーソリをかける」「オーソリを取る」などと呼んだりするのですが、これを行っていないと、後々支払いに関するトラブルが発生する可能性が高まります。
というのは、クレジットカードでは、注文したタイミングと請求が上がるタイミングは必ずしも同一ではありません。例に挙げたようなネットショッピングでは、在庫手配の関係で、商品の発送時に請求を上げるところがあります。
他にも、例えばホテルの予約をクレジットカードで行った場合は、宿泊後に請求金額が確定してからの請求となるでしょう。
このタイムラグが一つの問題で、注文してから請求が上がるまでの間に利用限度額がいっぱいになってしまったら、代金をクレジットカード経由で回収することができなくなってしまいます。こうしたトラブルを避けるため、決済金額の枠を確保しておくのはとても大切なのです。
当然、注文時点でカード情報に誤りがあったり、既に利用限度額いっぱいになっていたりする場合は、注文をもらっても請求ができませんので、商品を渡したりする前に支払い方法を確認してもらうアナウンスが必要になります。それが「有効性の確認」を行う理由ということですね。これは店頭でクレジットカードを使用して買い物をする場合でも同様に確認が必要になる部分です。
通販を利用して「クレジットカードが使用できない状態なので、別のクレジットカードか代金引換で再度注文してください」というような案内を受け取ったことがある方は、クレジットカードの有効性が確認できなかった(=オーソリが通らなかった)ということです。
「前回は使えたのに……。」と思っても、登録したカード情報に誤りがないか、限度額に達していないかなどを一度確認してみると良いでしょう。
オーソリを取るタイミングについて
オーソリは、システムによって即時にかけられる場合もあれば、そうでない場合もあります。
ネットショッピングなら、注文された在庫を確実に確保できるようなショップでは自動で(リアルタイムで)オーソリを取得することもありますし、複数店舗(実店舗含む)で在庫を共有しているような場合には、確実にお届けできるよう確認してから手動でオーソリをかけているショップもあります。
手動オーソリが行われているショップでは、営業時間外の注文のオーソリ取得が翌営業日以降になることが考えられますね。
なお、加盟店の店頭ではCAT(Credit Authorization Terminalの略)と呼ばれる信用照会端末が置いてあり、この端末ではリアルタイムでオーソリをかけることができますが、通信の状況次第では少し待ち時間が必要となることもあります。
リアルタイムでオーソリがかかる場合には、その場で問題なく手続きができたか分かることが多いですが、手動オーソリの場合はオーソリ結果が分かるまでにタイムラグがあります。
よくあるのは、ネットショッピングをした際に、無事に注文できたものだと思っていたら実はオーソリが通っていなかったというケースです。注文者側としては注文完了したので安心してしまい、加盟店側からのオーソリエラーの連絡を見落としていて、いつまでも商品が届かないということが発生しがちです。
不思議に思って問い合わせて、初めてオーソリが通らなかったことを知ることが少なくないのです。
こうした状況を避けるために、カードの有効期限などには日頃から気を配り、ネットショッピングをする際にはショップからの連絡を受け取れる状態にしておくことが大切になります。
オーソリエラー(オーソリNG)の詳細について
クレジットカードを使用して決済を行う時、エラーが発生してオーソリの取得ができないことがありますが、それを「オーソリエラー」あるいは「オーソリNG」と呼びます。
エラーとなった場合は基本的に加盟店側から連絡が来ますが、使えると思っていたカードが使えないとなると驚いてしまいますよね。
下記に主なエラー理由をまとめましたので、頭に入れておいていただければと思います。
- 退会済みのカードを使用している
- 取引内容と金額的に不自然なのでカード会社で保留になっている
- カード番号や暗証番号、入力された有効期限が誤っている
- 一日に使える金額や利用回数をオーバーしている
- 限度額をオーバーしている
- 事故や無効となっているカードを使用している
- 分割回数や支払い回数に問題がある
エラー時に吐き出されるエラーコードが確認できる場合は、加盟店側でエラーの理由を特定することもできます。
ただ、クレジットカードがオーソリエラーとなった原因の特定については、カード会社へ確認をするのが一番おすすめです。ネットショッピングなどでは、セキュリティ上の理由からショップ側ではクレジットカード情報を保持しておらず、問い合わせを受けても詳細を確認できないことがあるためです。
特に、上から2番目のカード会社での保留に関しては、カード会社へ直接連絡をして問題のない取引であると伝えれば解除することができますので、入力ミスなど思い当たる理由がない時は、カード会社への連絡を取ってみてください。
実際にオーソリエラーになった場合の対応
クレジットカードがオーソリエラーで使用できなかった場合は、まず最初に「カード番号」「暗証番号」「有効期限」に誤りがなかったか、限度額を超えていないかを考えてみると良いでしょう。勘違いや入力ミスでエラーとなっていた場合は、正しいものを入力すればクレジットカード決済を行うことができます。
前項でも述べましたが、考えてみても思い当たるものがなく解決しない場合は、カード会社へ連絡して原因を確認してみましょう。
有効期限が切れてしまっていたり、限度額を既にオーバーしている場合には、そのカードでの決済はできませんので、「代金引換(ホテルなら現地決済など)」「後払い」「銀行振込」「他のカードでの決済」などによる支払いを検討する必要が出てきます。
まとめ
クレジットカードを使用して支払いをする場合には、オーソリがかかり、有効性の確認と与信枠の確保が行われます。これによって加盟店側は代金未収トラブルなどの大部分を防ぐことができているのです。
カード使用者側としては日頃オーソリを意識する必要はありませんが、万一オーソリエラーとなった場合のために、「エラーの原因として入力ミスや期限切れ、限度額オーバーなどが考えられる」「カード会社に確認してみるのが有効」くらいの認識を持っておくと、慌てずに対応することができるでしょう。